第72回 中小企業のオンラインマーケティング モバイルマーケティング戦略の立て方5-5(最終) CLV:顧客生涯価値に留意する

澄み渡る空気が心地よく感じられる今日この頃の日和ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?

さて、久しぶりとなりましたが、今回はモバイルマーケティング戦略の立て方シリーズの締めくくりの最終回となります。

第72回
中小企業のオンラインマーケティング
モバイルマーケティング戦略の立て方5-5(最終)
CLV:顧客生涯価値にフォーカスする

 

まず、統計によるとappsダウンロードユーザーの内80%は3ヶ月以内に利用しなくなってしまうとのシビアなデータがあります。
利用者数が多いほどこの統計値に近くなり、提供側からしたら皮肉な状況です。

だ、悲観してばかりいても仕方ありません、CLV/顧客生涯価値を指標に設定することでこの流れを変えることができるのです。

ご存知のとおりCLVでは、ほんの1回のトランザクションだけでなく、時系列でみてユーザーがビジネスにもたらす価値を測定します。

このCLVを高めることにフォーカスすることが、販促アプリにとって大切なポイントです。
なぜなら、関心のある顧客をさらに引き付け、継続的な関与を促す確実な方法だからです。

US調査におけるビジネストレンドでは、マーケティングの効果を測定するためにCLVを指標に登用し、昨年の業績を10%以上向上させたマーケティング担当は、それを行ってこなかった担当に対して1.5倍増となってきています。*1
これをみるとCLVを重視しない訳には行かないですね。

 

CLVを優先指標にするということ

ここで世界的ホテルチェーンのヒルトンの事例を元に、みてみます。
まず、CLVを優先させるためには、文字通りに顧客をすべての中心に置く必要があります。

店舗、デジタル、モバイルなどで部署間の営業目標障壁をなくすことで、必ずしも成長に繋がっていない個別の指標(エンゲージメントやクリックなど)ではなく、明確なビジネス目標に集中することができます。

HiltonHonors

これまでのHiltonホテルチェーンは、旅の面倒な手続きを排除して、優れた顧客体験を提供しようとしてきました。

しかし現実では、ブランドマーケティング、デジタルマーケティング、eコマース、販促チームは個々で部署利益追求しており、必ずしも良い顧客体験を提供していたわけではありませんでした。

ここで、ホテルは各部門が合併し、顧客にとってより良い経験を生み出すという1つの目標を置いて、部門間をまたぐチームを作りへと進化したのです。

ヒルトンマーケティングでは、Hilton Honorsアプリを開発し、appメンバーがホテル・ルームを選択した後、現地チェックイン手続きを飛び越し、アプリを使用して直接予約した部屋のドアを開くことができるよう、大幅な改善を施したのです。これは面倒くさささもなくプライバシーも尊重されてVIPのような気分にもなれて大変うれしいサービスですね。

結果として顧客メンバーにとって、とてもストレスフリーとなり、マーケティングチームの狙いは的中したようです。
そのアプリはなんと90%台もの保持率を持っているとのことです!(驚)

セキュリティ等のリスクはあるかもしれませんが、実現しているところが何ともダイナミックです。
この事例のように顧客中心へとビジネス目線を転換することは、アプリのみのビジネスにとっても不可欠です。

中小企業の戦略として見習いたいフォーカスポイントは、すべての部署目標をCLVなどのビジネス成果に合わせ、機能別の共同作業やデータ共有を進めることで、全タッチポイントにおいて顧客の全体像を把握し、長期的なブランド成長を促進することができるという点につきます

CLVと重要顧客

次のステップでは顧客重視の対応ができた後、どの顧客が重要であるかも見据えて生きたいですね。

また、顧客が関係性を持った間でどれだけの収益をもたらし、かつその関係を維持する費用はどれだけなのかも、当然把握しなくてはなりませんね。

ここで金融サービス業界でどのようになってるかを見てみましょう。Bainの2016年調査によると 、顧客が銀行に電話をかけたり訪問したりするたびに、その費用は4ドルかかるそうです。
しかし、その取引がアプリ経由で済むのなら、ほんの10セントしかかからないとのことです。その費用差は愕然です。

さまざまな顧客分類上でCLVを評価する際には、各グループがアプリを使って対面/接触した回数と、ブランド成長にどれくらいの費用がかかるかを考慮することができます。

また、マルチチャネルビジネスでは、全チャンネルのユーザーのCLVを見る必要があります。
小売の場合で、顧客は定期的にアプリをチェックしてからリアルショップで購入するという良くあるパターン。

この場合、アプリ内の行動履歴確認だけでは、実際はリアルチャネル収益として計上されアトリビュートしているのにも拘らず、誤って価値の低いユーザーとして分類される可能性があるのです。

この様なことから全チャネルでのCLVの確認はギャップを埋めるのに役立ち、すべての相互作用の中で最も収益をもたらす重要顧客をより正確に把握することができるのです。

このように、中小企業のブランド成長を目指して、顧客維持における収益と費用の把握から始め、さらには重要顧客の分類までやろうと思えばできることですよね。

大切なのは、気づきとまずは最初の一歩からなんですよね。

今回で、中小企業のモバイルマーケティング戦略の立て方シリーズは終了します。

また、次回シリーズは目下模索中につき、お付き合いください。それではまたお会いしましょう!

 


参考:Google LLC. The consumer behaviors shaping the next generation of mobile experiences

引用:*1 Bain Marketing Survey 2016 (n=487, Leaders n=114).